生理予定日を過ぎても生理がこないと不安になりますよね。この記事では生理が遅れたときに考えられる原因や、病院に行く目安を解説します。また、生理不順にならないように気を付けたいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の監修医師
産婦人科クリニック 広尾レディース院長
宗田 聡
生理が遅れる主な原因
(1)妊娠している
まず一番最初に考えなければならないことは、妊娠の可能性です。
もし前回の生理以降に性交渉(セックス)をしたのであれば、仮に自分ではちゃんと避妊していたと思っていても、妊娠の可能性を疑うようにしましょう。生理が遅れているだけと思っていたら、実は妊娠していたということは、よくあります。
妊娠の可能性が考えられる場合には、まずは市販の妊娠検査薬を使ってチェックしてください。妊娠検査薬を使うタイミングは、生理予定日の1週間後以降、あるいは性交渉から3週間以上たった時点が目安です。
(2)ホルモンバランスの乱れ
生理が遅れる原因として一番多いのがストレスなどによる女性ホルモンのバランスの乱れです。上記に書いた妊娠の可能性がないにも関わらず生理が来ないときは、以下のリストに心当たりがないか振り返ってみましょう。
<ホルモンバランスの乱れにつながる例>
- 人間関係の悩み(家庭や学校・職場など)
- 環境の変化によるストレス(学校のクラス替えや転校、転職など)
- 生活習慣の乱れ(夜更かしなど)
- 過度な疲労
- 急激な体重の変化(過度なダイエットなど)
など
なお、初潮を迎えて間もない思春期は女性ホルモンの分泌が不安定なので生理不順になりがちです。20歳前後までは、生理周期が多少不安定でもあまり心配はありません。
(3)卵巣やホルモン分泌に関わる疾患
生理不順の原因はホルモンバランスの乱れだけではありません。ときには卵巣機能や女性ホルモンの分泌に異常があり、それらが原因となって生理不順になることがあります。
例えば、生理不順につながる原因には以下のような疾患が挙げられます。
- 黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)
- 多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)
- 高プロラクチン血症
- 甲状腺機能障害(こうじょうせんきのうしょうがい)
など
このような疾患があると、生理周期が長くなったり、短くなったり、またしばらく生理がこなくなったりします。不妊症につながることもあるため、生理不順は放っておかないことが大切です。このあと紹介する「病院に行く目安」を参考にして、心配なときは婦人科を受診しましょう。
(4)閉経が近づいている
多くの人が45歳〜55歳(平均的には50歳前後)で閉経をむかえるのですが、その数年前(更年期)から生理周期が不安定になりがちです。つまり、早い方だと40歳くらいから生理不順も起きてきます。生理周期が長くなったり、短くなったり、周期日数が乱れるようになったら、もしかすると更年期から閉経が近づいているサインかもしれません。
ちなみに、稀ではありますが40歳未満で閉経する「早発閉経」という疾患もあります。およそ30歳未満の1000人に1人、40歳未満の100人に1人にみられると言われています。ですから、20代や30代の方でも生理周期の異常を感じたら婦人科で診てもらうことが大切です。
病院に行く目安や診察内容
病院に行く目安
妊娠の可能性がない場合は、生理予定日を過ぎてもまずはしばらく様子を見ましょう。ストレスなどからホルモンバランスが乱れ、いつもよりも生理が遅れているだけかもしれません。婦人科受診の目安として、もし生理予定日を1ヶ月程度過ぎても生理が来ないようであれば受診するようにしてください。
また、生理が数ヶ月に1度しか来なくなったり、月に2〜3回も来るようになったときも婦人科を受診しましょう。具体的には、以下のような場合です。
- 生理周期が24日以内で月に生理が2〜3回も来ることが数ヶ月続く
- 生理周期が39日以上かかることが数ヶ月続く
- 生理が3ヶ月以上こない
生理周期が24日以内のことを「頻発月経」、39日以上かかることを「稀発月経」、生理が3ヶ月以上こないことを「続発性無月経」を呼びます。卵巣機能や女性ホルモンの分泌に異常があり、不妊症につながることもありますから、生理不順だと思ったら放置せずに婦人科を受診するようにしてくださいね。
問診で聞かれる内容
婦人科を受診すると、基本的には以下のような診察を行います。
- 問診
- 内診
- 超音波検査
- 採血
診察は問診から始まり、これまでの生理周期や妊娠経験の有無などを確認します。
<問診で確認される内容(一例)>
- 初経年齢
- 月経周期(生理が始まってから、次の生理が来るまでの日数)
- 月経日数(生理が続く日数)
- 最終月経日(前回の生理が始まった日。※生理が終わった日ではありません)
- 経血量
- 生理痛などの症状
- 性交渉経験の有無
- 妊娠経験の有無
- 過去の病歴・手術歴など
内診や超音波検査、採血について
問診の後は、内診や超音波検査(エコー)を行い、子宮や卵巣に疾患がないかどうかを調べます。
性交渉(セックス)の経験がない方や、内診が苦手な場合は、主治医と相談して検査内容を変更するなどして、可能な範囲で診てもらうことも可能です。
もし内診に対して大きな不安があったり苦手意識がある方は、病院を予約するときや、病院で診察前の問診時(紙に書かれた質問に答えるとき)に、「内診は苦手なので、検査内容は相談したい」と伝えるようにしてください。
内診や超音波検査の他には、採血によってホルモンの分泌に異常がないか検査することもあります。
受診前に準備するものや服装について
問診時に過去の生理周期についてパッと答えらるか心配な方は、事前に手帳などにメモしておくか、生理管理アプリでチェックできるようにしておくと良いでしょう。
ちなみに生理管理アプリの「ケアミー」は、生理日を登録しておけば過去の生理周期の日数や、周期日数のズレをパッとみてチェックできます。過去の生理周期がわかりやすく表示されるので、問診にも答えやすいかもしれません。
このようなアプリを活用して日頃から生理周期日数の変化をチェックしておくと、生理不順に気づくことができます。またホルモンバランスの乱れにつながるような生活をしていないか振り返るきっかけにもなります。
ケアミーは会員登録なしで使いはじめられ、広告表示もなく無料でも使えますから、ぜひ一度お試しください。
また必須ではありませんが、もし基礎体温を普段からつけている人は、基礎体温表を持参するようにしてください。
なお、服装についてはスカートでもパンツでも構いません。ただ、ゆったりしたスカートであれば脱がずに内診台に上がれるので診察がスムーズです。
生理不順にならないようにするポイント
ストレスを溜めこまないようにする
人間関係や勉強、仕事などでストレスが溜まってしまうとホルモンバランスの乱れに繋がります。趣味に打ち込んだり、適度に体を動かしてリフレッシュしたり、たくさん寝たりしてストレスを解消できるように工夫してみましょう。また、夜更かしなど不規則な生活リズムにも気をつけるようにしましょう。
無理なダイエットに気を付ける
無理なダイエットによって急激に体重が減ったり、食事制限によって栄養不足になると生理不順に繋がります。正常に生理が起こるためには、適正体重を保つことが大切です。痩せすぎている人は生理不順になりやすいので要注意です。
自分が適正体重かどうかは「BMI」という値を計算することでチェックできます。BMIの値が18.5〜25であれば適正体重です。
BMIの計算方法: BMI = 体重[kg] ÷ 身長[m] × 身長[m]
以上、この記事では生理が遅れたときに考えられる原因や病院に行く目安について解説しました。生理不順は排卵のリズムに異常があるサインですから、心配なときは婦人科に相談するようにしてくださいね。
参考文献
産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020 p100-103,日本産科婦人科学会,http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf