妊娠の可能性を高めるには、排卵が起こるタイミングを知ることが大切です。この記事では、生理周期の長さから排卵日を予測する「排卵日計算カレンダー」をご紹介し、また、特に妊娠の可能性が高い日はいつなのか解説します。排卵日をより正確に知るための方法として、基礎体温の計測や排卵検査薬についてもご紹介するので、妊娠をご希望されている方はぜひ最後まで読んでくださいね。
この記事の監修医師
産婦人科クリニック 広尾レディース院長
宗田 聡
排卵日を計算してみよう
排卵日計算カレンダー
排卵日がいつか知りたい方は、以下の排卵日計算カレンダーをご利用ください。前回の生理開始日や、平均的な生理周期の長さから排卵予定日を計算し、妊娠の可能性が高い期間を表示します。
前回の生理開始日
生理周期の日数
生理が開始した日から、次の生理が来るまでにかかる平均的な日数を入力してください。生理開始日
妊娠の可能性が高い日
排卵予定日
カレンダーに表示された「排卵予定日」の5日前くらいから排卵予定日の2〜3日後までが、妊娠する可能性のある期間となります。
排卵予定日ぴったりに排卵が起きるとは限らず、数日前後しますので、それだけ幅があるのです。そして、妊娠しやすい時期としては排卵予定の3日前から前日までの3日間が特に妊娠の可能性が高い日となります。
注意いただきたいのは、この排卵日計算カレンダーによって表示された「排卵予定日」や「妊娠の可能性が高い日」はあくまで目安だということです。より正確に排卵日を知るためには基礎体温を測ったり、排卵検査薬を使ったりします。基礎体温や排卵検査薬については、後ほど解説します。
排卵はいつ起こるの?
排卵日の目安は生理予定日の2週間前
身体の仕組みとして、排卵が起こったあとに妊娠しなければ、およそ14日後に生理がくるようになっています。つまり逆に考えると、「次の生理予定日の14日前頃に排卵は起こる」と言えます。
排卵が起こったあと、子宮は妊娠しやすいように子宮内膜の状態を整えた状態になっています。しかし、妊娠しなかった場合には子宮内膜の一部がはがれ落ち、血液の状態になって出血します。これが生理(月経)です。
この排卵が起こってから生理が来るまでの日数が約14日間です。人によっては少し短かったり、長かったりもしますから、「排卵日は生理予定日のだいたい2週間前ぐらい」と覚えておきましょう。
妊娠の可能性が高いのは排卵日前
排卵日に性交渉をするよりも、排卵日前の方が妊娠する可能性は高いと考えられています。
妊娠の可能性は排卵日の6日前頃から高くなり、2日前頃が最も高く、そして排卵日に向けて可能性が低くなっていきます。排卵された卵の寿命は数時間と短いので、排卵してしまうと妊娠するチャンスは減りますが、一方で精子は女性の中で数日生存していると考えられていて、実際に数日前の性交でも妊娠する可能性があるのです。
特に妊娠の可能性が高い期間の目安は「排卵日の3日前から前日までの3日間」と考えると良いでしょう。
つまり、次の生理予定日の14日前頃を「排卵予定日」とし、その排卵予定日前の3日間が「特に妊娠の可能性が高い期間」の目安として考えられます。
妊娠しやすい期間がわかるアプリ
妊活にも対応している生理管理アプリを使うと、先ほど説明した計算をしなくても排卵予定日や妊娠の可能性が高い日を知ることができて便利かもしれません。
例えば生理管理アプリの「ケアミー」は、登録された生理周期から排卵予定日や妊娠の可能性が高い日が予測されます。
また、ケアミーは産婦人科医監修の妊活に役立つ記事も読むことができるので、これから妊活をはじめる方にはぴったりです。会員登録なしで使いはじめられ、広告表示もなくシンプルで使いやすいので、ぜひ一度お試しください。
生理不順の場合は注意が必要
ここまで排卵日の計算方法をお伝えしましたが、生理不順の場合には注意が必要です。
そもそも生理不順の方は「次の生理予定日」を把握しづらいので、排卵日がいつなのか計算することが難しいです。また、生理周期が短すぎたり(24日以下)、長すぎたり(39日以上)する場合には、排卵が起こりづらい状態だったり、排卵が起こっていなかったりする可能性もあります。
妊娠を希望していて、生理不順の心配があれば婦人科に相談するようにしてください。
基礎体温を測ると排卵した日がわかる
基礎体温の測り方
基礎体温を毎日測ることで、きちんと排卵が起こったかどうかをチェックすることができます。ここでは、基礎体温の測り方と排卵のチェック方法を簡単にご紹介します。
基礎体温とは、簡単に言えば「必要最低限のエネルギーしか消費していないときの体温」のことです。人の体温は、歩いたり、食事をしたり、様々な活動によって変化します。
ですから、基礎体温を正しく測るには、しっかりと睡眠をとり、朝目覚めた直後に計測する必要があります。また、「婦人用体温計」と呼ばれる体温計を使う必要があります。風邪をひいたときに使うような一般の体温計では正確に計測できないのでご注意ください。
<基礎体温を測るときのポイント>
- 婦人用体温計を使う
- 最低でも4〜5時間の睡眠をとったあとに測る
- 目覚めたら、起き上がらずに安静にした状態で測る
排卵すると基礎体温が上がる
毎日基礎体温を測れば、生理周期に合わせて変化が見られます。
生理がきてから排卵が起こるまでの生理周期前半は、基礎体温が低く「低温期」と呼びます。排卵をきっかけに基礎体温は0.3~0.5℃ぐらい上昇し、排卵から次の生理が来るまでは「高温期」と呼びます
毎朝基礎体温を測り続けることで、上の図表のように基礎体温の変化をチェックできます。そして、低温期から高温期に変化したタイミングが「排卵が起こったタイミング」の目印になります(上記の図では14日目頃)。
実際の人の体温は、この図表のモデルのように一定ではありません。多くの人は、もっと日々の上下の振れ幅が大きく、グラフがジグザクとしていて非常に解りにくいことのほうが多いです。自分でよくわからないときなどは、3ヶ月以上測定したらかかりつけの婦人科で診てもらうことも大事です。
この基礎体温の測定記録は「いつ頃排卵が起こったのか」を知る方法として役立ちます。一方で、妊娠の可能性が高い「排卵日前」のタイミングを事前に予測することはできません。排卵日前のタイミングを知りたい方は、次に説明する排卵検査薬を使ってみましょう。
排卵検査薬を使うと排卵前のタイミングがわかる
排卵検査薬とは
排卵検査薬はスティック型の薬品で、スティックの先に尿をかけて使います。排卵が起こる1〜2日前には「LH」と呼ばれるホルモンが増えるのですが、尿に含まれる「LH」を排卵検査薬は検知して、排卵前であるかどうかをチェックできます。
つまり、排卵検査薬を使えば排卵日前の特に妊娠の可能性が高い日を知ることができます。
排卵検査薬の使い方
排卵は次の生理予定日の14日前頃に起こると考えられるため、排卵検査薬は「次の生理予定日の17日前」から数日間かけて検査をします。そのため、排卵検査薬は3〜5本程度使用することが多いです。
「生理予定日の17日前」の日から数日間検査をすると、陰性反応から陽性反応に変わる日があります。その日が、だいたい排卵日の1〜2日前となります。特に妊娠の可能性が高いのは排卵日の3日前〜前日ですから、排卵検査薬で陽性反応が出た日はチャンスです。
しかし、LHというホルモンの出方は個人差が大きいため、理想的に排卵検査薬で排卵のタイミングを知ることができる人ばかりではありません。排卵検査薬も安くはないため、使うタイミングや、どう役立てるかなどは、婦人科の専門家と相談してみましょう。
以上、この記事では排卵日や妊娠の可能性が高い日がいつなのか、また、生理周期から排卵日を計算するだけでなく、基礎体温や排卵検査薬を使って排卵日をチェックする方法を解説しました。妊娠するためには、排卵前の妊娠しやすい期間に性交渉を持つことが大切です。ぜひ、この記事で紹介した方法を参考にしていただければと思います。
参考文献
4.排卵の予測,公益社団法人日本産婦人科医会,https://www.jaog.or.jp/lecture/4-%E6%8E%92%E5%8D%B5%E3%81%AE%E4%BA%88%E6%B8%AC/
Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle, Human Reproduction, Volume 17, Issue 5, May 2002, Pages 1399–1403,https://academic.oup.com/humrep/article/17/5/1399/845579